みこもかる通信~web版~第16回       あいつらだいたい外来種!

第16回 あいつらだいたい外来種!

 初夏になり、道端にも色とりどりの花が咲いているのを見かけます。実は道端で見かける花のほとんどは外来種です。外来種の花というとシロツメクサやセイヨウタンポポなどが有名ですが、ここではそれ以外のよく見かける外来種の花を紹介します。

和名 :ムシトリナデシコ(虫取撫子)
学名 :Silene armeria
科名 :ナデシコ科
原産地:地中海沿岸
侵略的外来種
 ピンク色の花を咲かせます。江戸時代に観賞用として渡来しました。名前の「ムシトリ」は花の下の一部がネバネバしていてアブラムシなどを捕まえることに由来します。しかし食虫植物ではありません。

和名 :オオキンケイギク(大金鶏菊)
学名 :Coreopsis lanceolata
科名 :キク科
原産地:北アメリカ中南部
特定外来生物 緊急対策外来種 侵略的外来種ワースト100
 コスモスに似た黄色い花を咲かせます。明治時代に観賞用として渡来しました。特定外来生物に指定されていますので、栽培や持ち運びは禁止されています。駆除するときも種が散らないように根から引き抜いてポリ袋に入れて捨てることが大事です。ちなみに「特定外来種」という言葉ありません。紛らわしいですが外来種と外来生物を正しく使い分けられると少し通ぶることができるかも?

和名 :ナヨクサフジ(弱草藤)
学名 :Vicia villosa
科名 :マメ科
原産地:地中海沿岸
緊急対策外来種
 フジのような紫色の花を咲かせます。飼料や緑肥用として昭和初期に渡来しました。微量のシアン化合物を含んでおり、大量に食べた家畜が中毒を起こすことがあります。在来種の「クサフジ」とよく似ていますが、花のつき方(がくの形状)や茎などの毛の有無などで見分けることができます。

和名 :ヒレハリソウ(鰭玻璃草)
学名 :Symphytum officinale
科名 :ムラサキ科
原産地:地中海沿岸
 コンフリーとも呼ばれ、飼料や食用・薬用として明治時代に渡来しました。かつては薬草・健康野菜ともてはやされ、日本でも天ぷらやおひたしとして食べられていました。しかしアロカロイド系の毒を含んでおり、肝障害の原因となることが広まると、薬草から毒草に評価が急降下しました。

和名 :ブタナ(豚菜)
学名 :Hypochaeris radica
科名 :キク科
原産地:地中海沿岸
要注意外来生物 緊急対策外来種
 タンポポモドキとも呼ばれ、タンポポに似た黄色い花を咲かせます。昭和初期に他の牧草に紛れて渡来したと言われています。ブタナの名の由来は豚が好んで食べることからフランスでは「ブタのサラダ」と呼ばれていたためです。

和名 :ハルジオン(春紫菀)
学名 :Erigeron philadelphicus
科名 :キク科
原産地:北アメリカ
要注意外来生物 侵略的外来種ワースト100
 白色からピンク色の花を多数咲かせます。大正時代に観賞用として渡来しました。春に咲く「シオン(紫菀)」ということでハルジオンの名が付きました。本家のシオンは薄紫色の花で秋に咲きます。

和名 :ヒメジョオン(姫女菀)
学名 :Erigeron annuus
科名 :キク科
原産地:北アメリカ
要注意外来生物 侵略的外来種ワースト100
 ハルジオンとよく似た白い花を多数咲かせます。江戸時代に観賞用として渡来しました。ハルジオンと同じムカシヨモギ属、北アメリカ原産ですが、ヒメジオンではなくヒメジョオンなので注意してください。さらに紛らわしいことに「ヒメシオン(姫紫菀)」という名前も外観も似た花がいます。こちらは在来種で、お盆の時期にさくため盆花として親しまれています。

<おまけ ハルジオンとヒメジョオンの見分け方>
 ハルジオンの方がピンク色の花が多いとか、ハルジオンのつぼみは下を向き、ヒメジョオンのつぼみは上を向くなど、いくつか違いはありますが、一番わかりやすいのは、茎の切断面です。空洞があるのがハルジオン、中まで詰まっているのがヒメジョオンです。

 ではなぜ道端の花のほとんどが外来種となってしまったのでしょうか?
 いくつかの理由がありますがここではその一つを紹介します。
 市街地の環境が在来種にとって必ずしも適していないことです。雨の多い日本では、人為的な影響がない場合の本来の植生(潜在自然植生)は、多くの地域で広葉樹林または針葉樹林です。そのため、日本では植物の多くが森林環境に適応して進化してきました。
 一方、外来種の原産地である北アメリカや地中海沿岸は日本よりも乾燥しており、本来の植生は草原や硬葉樹林です。

  広葉樹林・針葉樹林 草原・硬葉樹林 市街地・農地・河川敷
土の水分 多い 少ない 少ない
照度(日照) 低い(位) 高い(明るい) 高い(明るい)
攪乱 少ない 中程度 多い

 日当たりのよい市街地や農地の環境は、森林よりもむしろ草原や硬葉樹林に近い特徴を持っています。そのため、これらの環境では在来種よりも外来種のほうが適応しやすく、優勢になりやすいと考えられます。私たちの身の回りで外来種が多く見られるのは、そのためともいえます。
 薄暗い森林内では在来種も十分な競争力を持っているため、外来種の侵入は比較的限定的です。

 なお、水辺では異なる現象が見られます。「地球上最悪の侵略的植物」とも評される「ナガエツルノゲイトウ」をはじめ、「ホテイアオイ」や「オオカナダモ」などの熱帯原産の外来種が、水域で優占する事例が各地で報告されています。
 これらの植物は圧倒的な競争力により在来種を脅かします。熱帯原産の植物は一般に寒さに弱い傾向がありますが、近年の温暖化や都市化による水温上昇によって成長・越冬しやすくなり、その影響がさらに拡大することが懸念されています。

 日本の植物は海外の植物に押される一方なのでしょうか?
 実は、日本にも海外で問題となっている強力な植物があります。それが「グリーンモンスター」とも呼ばれる クズ です。
 クズはマメ科植物で、やせた土地でも生育できるうえ、自ら幹を支える必要がないツル植物の特性を生かして、樹木や建造物などあらゆるものを覆うように成長します。特に北アメリカでは大規模に繁茂し、生態系や農業に大きな被害をもたらしています。

 その北アメリカ原産の「アレチウリ」はクズ同様にツル植物であり、世界各地で在来の植生を脅かしている外来種として知られ、日本でも特定外来生物に指定されています。
 日本では、河川敷や空き地などでクズとアレチウリが同じ場所に繁茂し、勢力を競い合っている様子がしばしば見られます。もしかしたら北アメリカでもアレチウリとクズが競い合っている様子が見られているのかもしれません。

和名 :クズ(葛)
学名 :Pueraria lobata
科名 :マメ科
原産地:東アジア
秋の七草のひとつであり、秋に紫色のフジに似た花を咲かせます(秋になって写真が撮れたら載せる予定です)。根は葛粉や葛根湯の原料として重宝されています。